相続や遺贈(遺言により財産を与えること)によって財産をもらった人は、原則として相続税を納める必要があります。
しかし、相続をした人のおよそ9割は、相続税を払っていない・相続に関する納税の義務が発生していないのが現状です。
相続税と基礎控除
相続税には基礎控除という制度があります。
基礎控除額を超えた相続財産がある場合にのみ、相続人には納税の義務が生じます。
基礎控除は、2020年2月の現行では以下の計算方法が規定されています。
基礎控除の計算方法
3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、相続人が配偶者と子ども2人の計3人だとすると、
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
となり、遺産の総額が4,800万円であれば、相続税が発生せず、申告の必要もありません。
相続税の基礎控除早見表
法定相続人の数 / 基礎控除額
1人 / 3,600万円
2人 / 4,200万円
3人 / 4,800万円
4人 / 5,400万円
5人 / 6,000万円
6人 / 6,600万円
小規模宅地の特例
上記の基礎控除の範囲内に当てはまらない場合でも、相続税には他に2つの制度があり、その制度を利用することで相続税の納税が発生しない場合も多いです。
その一つがこの『小規模宅地の特例』で、これは面積330平方メートルまでの宅地については、不動産評価額の80%引きで価値を計算することができる、という制度です。
先程と同じく、相続人が配偶者と子ども2人のケースで見てみましょう。
<亡くなった父親と一緒に住んでいた50坪(約165平方メートル)の自宅が相続される場合>
不動産評価額が3,000万円、その他の財産(金融資産や動産)は全部合わせて3,000万円あったとすると、遺産の総額は6,000万円となり、通常であれば基礎控除の4,800万円をオーバーして相続税が発生することになります。
ただし、相続人が引き続きその家に住む目的で相続した場合は、この『小規模宅地の特例』が認められます。
この特例に従って計算し直すと、評価額3,000万円の80%引きとなり、不動産の評価額は600万円になります。
そのため、遺産の総額は600万円+3,000万円の3,600万円となり、相続税は課税されないことになります。
配偶者控除
相続税に関する制度のもうひとつが『配偶者控除』になります。
これは、もらった遺産額が法定相続分以内、もしくは1億6,000万円以下の場合は、配偶者に相続税はかからないという制度となります。
例えば遺産の総額が1億6,000万円以下の時、これを配偶者が全額相続すれば、相続税は課税されません。
ただし、この制度には注意が必要なこともあります。
遺産を相続した配偶者が亡くなったとき、その遺産を今度は子どもが相続(二次相続)する場合に、配偶者としての特例が使えないので、子どもの相続税負担が大きくなります。
また、配偶者控除は相続税の申告をしなければ適用されません。
相続税の申告は相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内にしなければいけないため、申告の期限にも気をつけておきましょう。
このように、『基礎控除』『小規模宅地の特例』『配偶者控除』などによって、相続をした人のおよそ9割には相続税が発生していない、ということになります。
相続人の特定や財産目録の作成時点で相続税の発生がわかるようであれば、相続税対策について専門家に相談することをおすすめいたします。
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